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吉川英治文学賞・第1回(1967年)~現在までの受賞作品のすべて

人名のついた文学賞

目次

吉川英治文学賞とは

発表:3月

主宰:公益財団法人吉川英治国民文化振興会
後援:講談社
対象:大衆小説

※吉川英治文化賞・吉川英治文庫賞も同主宰。

1967年に設置されて以来、年1回発表されている。受賞は選考委員の合議によって決定される。当初は功労賞的な側面が強かったが、近年は具体的な作品が対象とされている。受賞者には正賞として賞牌、副賞として300万円が授与される。1980年以降、平行して運営されている吉川英治文学新人賞が新人もしくは中堅を対象にしていることもあり、ベテランの作家が受賞するケースが多い。

現在の吉川英治文学賞の前身は、吉川英治の寄付金をもとに1962年2月に創設された「吉川英治賞」。第1回の受賞者は須知徳平であったが、1966年に賞の運営が毎日新聞社から吉川英治国民文化振興会と講談社に移管され、現在の制度になった。

出典:ウィキペディア講談社

 

吉川英治(ウィキペディア)

生年月日:1892年8月11日

活動期間:1923年~2062年(70歳没)

 

吉川英治文庫賞はこちら

 

第53回:鏡の背面

2019年
著者:篠田節子

薬物依存症患者やDV被害者の女性たちが暮らすシェルターで発生した火災。「先生」こと小野尚子が入居者を救い、死亡。盛大な「お別れの会」が催された後、警察から衝撃の事実が告げられる。「小野尚子」として死んだ遺体は、別人のものだった。ライターの山崎知佳は、過去を調べるうちに、かつて「女」を追っていた記者にたどり着く。一方、指導者を失ったシェルター内では、じわじわと不協和音が…。傑作長編サスペンス。

 

第52回:守教

2018年
著者:帚木蓬生

初めてだった。これほどに、自分を認めてくれる教えは。だから、信じることに決めた。百姓たちは、苦しい日々を生き抜くためにキリシタンになった。なにかが変わるかもしれないという、かすかな希望。手作りのロザリオ。村を訪れた宣教師のミサ。ときの権力者たちも、祈ることを奨励した。時代が変わる感触がそのときは、確かにあった。しかし―。感涙の歴史巨編。戦国期から開国まで。無視されてきたキリシタン通史。

 

第51回:大雪物語

2017年
著者:藤田宜永

ある冬、N県K町が観測史上初の99センチという豪雪に見舞われる。町民をはじめ観光客、仕事のため車でK町に訪れた人々は、駅や車中など長時間足止めを余儀なくされた。町、県、国レベルの除雪作業も追いつかず、町の深刻な状況から災害救助法が適用され、自衛隊の派遣も要請される。そんな非日常のさなか、紡がれる6つのストーリー。避難所を設ける花屋、車に閉じ込められた人たちの救済支援にあたる自衛隊員、独居老人を救った青年の過去など「冷たいからこそ、人はより一層心を温かくさせる」

 

第50回:東京零年

2016年
著者:赤川次郎

介護施設に入所中の父を支え懸命に働く亜紀と、権力者の父の元で安穏と暮らす健司。二人の偶然の出会いと、亜紀の父浩介が偶然テレビに映った「死んだはずの男」湯浅を見たことから、運命は動き始める。十数年前の湯浅の死に父の重治が関わっていたと知った健司は、亜紀と事件の真相を追うが、二人の前に公権力の壁が立ち塞がり…。巨匠が描く渾身の社会派サスペンス。吉川英治文学賞受賞作。

 

第49回:平蔵狩り

2015年
著者:逢坂剛

人前には自らの顔を決して見せない火付盗賊改の頭領、長谷川平蔵。オランダ渡りの秘薬の謎を探り、盗賊を率いる父娘を追う。ある日、自分の父であるという“本所のへいぞう”が訪ね、京から若い女絵師が下って来た…。ハードボイルドの調べに乗せて描く、逢坂版平蔵シリーズ第二弾!

 

第48回:海と月の迷路

2014年
著者:大沢在昌

若き警察官の”正義”が、「軍艦島」内に波紋を広げる。わずかな土地に五千人以上が暮らす、通称「軍艦島」と呼ばれる炭鉱の島で、昭和三十四年少女の遺体が見つかった。島に赴任したばかりの警察官・荒巻は少女の事故死を疑い、独自に捜査を開始。島の掟を前に、捜査は難航するが、予期せぬ人物の協力によって、有力な証拠にたどりつくーー。

 

第48回:祈りの幕が下りる時

2014年
著者:東野圭吾

悲劇なんかじゃない。これが私の人生。
加賀恭一郎は、なぜ「新参者」になったのか—。

明治座に幼馴染みの演出家を訪ねた女性が遺体で発見された。捜査を担当する松宮は近くで発見された焼死体との関連を疑い、その遺品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることに加賀恭一郎は激しく動揺する。それは孤独死した彼の母に繋がっていた。
シリーズ最大の謎が決着する。

 

第47回:沈黙のひと

2013年
著者:小池真理子

両親の離婚によってほとんど関わりあうことなく生きてきた父が、難病を患った末に亡くなった。衿子は遺品のワープロを持ち帰るが、そこには口を利くこともできなくなっていた父の心の叫び―後妻家族との相克、衿子へのあふれる想い、そして秘めたる恋が綴られていた。吉川英治文学賞受賞、魂を揺さぶる傑作。

 

第46回:大江戸釣客伝

2012年
著者:夢枕獏

綱吉治世の元禄時代、釣りに出た絵師・朝湖と俳人・其角は江戸湾で屍体を釣り上げる。竿を持ち、笑みを浮かべながら流れ死んだ男の正体は?一方、旗本・采女は小普請組という閑職がゆえ、釣り三昧の日々を送っている。義父・吉良上野介の計らいで、「生類憐みの令」を発布した将軍・綱吉の側小姓となるが…。第46回吉川英治文学賞、第39回泉鏡花文学賞、第5回舟橋聖一文学賞、3冠達成の時代小説。

 

第45回:悪道

2011年
著者:森村誠一

将軍綱吉が柳沢邸に御成り中、天下の大乱を招きかねない変事が勃発。吉保は秘密を知る者の鏖を暗殺集団猿蓑衆に命ずる。伊賀忍者末裔の英次郎は天才女医おそでを護り、おくのほそ道を血に染め逃亡の旅へ。強大な敵の喉元に迫る不屈の一寸の虫たち。死闘の行方は!?吉川英治文学賞に輝く時代小説の最高峰。

 

第44回:十字架

2010年
著者:重松清

いじめを苦に自殺したあいつの遺書には、僕の名前が書かれていた。あいつは僕のことを「親友」と呼んでくれた。でも僕は、クラスのいじめをただ黙って見ていただけだったのだ。あいつはどんな思いで命を絶ったのだろう。そして、のこされた家族は、僕のことをゆるしてくれるだろうか。

 

第43回:オリンピックの身代金

2009年
著者:奥田英朗

小生 東京オリンピックのカイサイをボウガイします―兄の死を契機に、社会の底辺ともいうべき過酷な労働現場を知った東大生・島崎国男。彼にとって、五輪開催に沸く東京は、富と繁栄を独占する諸悪の根源でしかなかった。爆破テロをほのめかし、国家に挑んだ青年の行き着く先は?

 

第42回:中原の虹

2008年
著者:浅田次郎

「汝、満洲の王者たれ」予言を受けた親も家もなき青年、張作霖(チャンヅオリン)。天命を示す“龍玉”を手に入れ、馬賊の長として頭角を現してゆく。馬と拳銃の腕前を買われて張作霖の馬賊に加わった李春雷(リイチュンレイ)は、貧しさゆえに家族を捨てた過去を持つ。栄華を誇った清王朝に落日が迫り、新たなる英雄たちの壮大な物語が始まる。

 


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第41回:名もなき毒

2007年
著者:宮部みゆき

今多コンツェルン広報室に雇われたアルバイトの原田いずみは、質の悪いトラブルメーカーだった。解雇された彼女の連絡窓口となった杉村三郎は、経歴詐称とクレーマーぶりに振り回される。折しも街では無差別と思しき連続毒殺事件が注目を集めていた。人の心の陥穽を圧倒的な筆致で描く吉川英治文学賞受賞作。

 

第40回:受賞作なし

2006年

 

第39回:夜の明けるまで

2005年
著者:北原亞以子

生きるのが辛くなった人々をやさしく迎えてくれる木戸番小屋があった――

江戸の片すみ・澪通りの木戸番小屋に住む笑兵衛(しょうべえ)とお捨(すて)。心やさしい夫婦のもとを、痛みをかかえた人たちが次々と訪れる。借金のかたに嫁いだ女、命を救ってくれた若者を死なせてしまった老婆、捨てた娘を取り戻そうとする男……。彼らの心に温かいものが戻ってくる物語全8作。

 

 

第38回:楊家将

2004年
著者:北方謙三

『水滸伝』『楊令伝』に脈打つ楊家の魂、ここにあり!
宗建国の英雄・楊業とその一族。過酷な運命のなかで光り輝き、青面獣楊志、楊令にも語り継がれた漢たちの熱き闘い。

 

第37回:海霧

2003年
著者:原田康子

幕末の佐賀に生まれた幸吉は、米問屋に奉公に出るが、「新しい時代の産物」石炭に魅せられ、坑夫となってエゾ地へと渡る。広大な未開の地にあって、己の力と才覚で新しい人生を切り開いていくのだった・・・。幕末から明治、昭和へと、激動の時代をひたむきに生きた著者の血族を描いた物語。

 

第36回:ごろごろ

2002年
著者:伊集院静

ベトナム特儒に沸く横浜港に流れついた四人の男。ガン、サクジ、トミヤス、キサン。彼らの遊びはきまって一人が抜ける三人麻雀だった。あてどのない流謫の日々、つかのまの花見の宴。いつも男たちの胸に痞える大きな石のようなもの。悲しみと寂寥の正体は何なのか。男たちの流浪を描く傑作長篇小説。

第35回:子産

2001年
著者:宮城谷昌光

信義なき世をいかに生きるか――春秋時代中期、小国鄭は晋と楚の2大国間で向背をくりかえし、民は疲弊し国は誇りを失いつつあった。戦乱の鄭であざやかな武徳をしめす名将子国(しこく)と、その嫡子で孔子に敬仰された最高の知識人子産。2代にわたる勇気と徳の生涯を謳いあげる歴史叙事詩。

 

第34回:火怨

2000年
著者:高橋克彦

辺境と蔑まれ、それゆえに朝廷の興味から遠ざけられ、平和に暮らしていた陸奥の民。8世紀、黄金を求めて支配せんとする朝廷の大軍に、蝦夷の若きリーダー・阿弖流為は遊撃戦を開始した。北の将たちの熱い思いと民の希望を担って。古代東北の英雄の生涯を空前のスケールで描く、吉川英治文学賞受賞の傑作。

 

第33回:怒濤のごとく

1999年
著者:白石一郎

「国姓爺合戦」で知られる鄭成功。明朝末期、海賊の子として生まれ、清朝に敢然と孤独な戦いを挑んだ悲劇の英雄を描いた海洋歴史小説

第32回:みんなの秘密

1998年
著者:林真理子

男と女、心理と生理のなまめかしい絡み合い
倉田涼子、34歳。キスに対して少女よりもおぼこな人妻は、不倫という甘い蜜を手に入れた。キスだけの淡い恋に酔いしれ、その先の関係におそれおののくが……「爪を塗る女」。何かを隠して生きている妻、夫、娘、愛人たち、人間の密やかな喜びと切なさを描く連作小説集。

 

第32回:死の泉

1998年
著者:皆川博子

第二次大戦下のドイツ。私生児をみごもりナチの施設「レーベンスボルン」の産院に身をおくマルガレーテは、不老不死を研究し芸術を偏愛する医師クラウスの求婚を承諾した。が、激化する戦火のなか、次第に狂気をおびていくクラウスの言動に怯えながら、やがて、この世の地獄を見ることに…。双頭の去勢歌手、古城に眠る名画、人体実験など、さまざまな題材が織りなす美と悪と愛の黙示録。吉川英治文学賞受賞の奇跡の大作。

 

第31回:同心円

1997年
著者:野坂昭如

女と酒、舌先三寸、身勝手、臆病……同心円上の誰彼につながるオノレのうちを凝視する連作長篇。

「まけだね、争えないもんさ」まけとは血筋を意味する。「父はのんだくれ、あげく女の家で息を引取った。兄たちも、女と酒で一生棒にふっている。眼の前でみてたから、そりや小心翼々と生きてきた。あたしは、かなりいかがわしいね。君の、ちゃらんぽらんなとこ、嘘をつくこと、自分勝手、みんなあたしの中にあるよ」

第30回:星の衣

1996年
著者:高橋治

機(はた)に浮かぶ模様が、忘れがたい男の優しさを、忘れてしまいたい男の面影を、織り出していく。沖縄の伝統織物に生涯をかける2人の女――汀子(ていこ)は亡き夫へ捧げる[首里織]を、尚子(しょうこ)は新しい人生の証となる[八重山上布(じょうふ)]を。生と愛の情念を織り上げる女のひたむきさを描く感動の長編小説。

第29回:夢のまた夢

1995年
著者:津本陽

天正十年、毛利攻めの直中にあった羽柴秀吉は、偶然捕らえた間者が忍ばせていた密書に衝撃を受ける。本能寺で織田信長討死。それは明智光秀が毛利家に宛てたものだった。窮地を覚った秀吉は毛利と巧みに和睦。中国大返しと呼ばれる急行軍を成し遂げ、仇敵・光秀との決戦に臨む…。野望と独善に満ちた天下人の生涯を、凛乎たる筆致で描く歴史巨編。

 

第29回:新トロイア物語

1995年
著者:阿刀田高

現代に蘇る壮大な叙事詩
絶世の美女ヘレネと王子パリスが駆け落ちした。ヘレネを略奪した者は、求婚した者全員から報復を受ける。ユニークな「テュンダレオスの掟」が、古代ギリシアに予期せぬ大戦争を巻きおこした。名高い「トロイアの木馬」は真実だったのか。壮大な叙事詩の世界に挑んだ歴史小説。

 

第28回:受賞作なし

1994年

 

第27回:ひねくれ一茶

1993年
著者:田辺聖子

江戸の荒奉公で苦労の末、好きな俳諧にうち込み、貧窮の行脚俳人として放浪した修業時代。辛酸の後に柏原に帰り、故郷の大地で独自の句境を確立した晩年。ひねくれと童心の屈折の中から生まれた、わかりやすく自由な、美しい俳句。小林一茶の人間像を、愛着をこめて描き出した傑作長編小説。田辺文学の金字塔。

 

第26回:諸葛孔明

1992年
著者:陳舜臣

後漢は衰微し、群雄が覇を競う乱世に、一人の青年が時を待っていた。三顧の礼にこたえ、劉備のもと、「臥竜」孔明は、南下する最強の敵、曹操に立ち向かうべく、赤壁の戦いへと赴く。透徹した史眼、雄渾の筆致がとらえた孔明の新しい魅力と壮大な「三国志」の世界。

 

第25回:花影の花 大石内蔵助の妻

1991年
著者:平岩弓枝

「忠臣蔵」後、秘められたもう一つの人間ドラマがあった。大石未亡人りくの密やかな生涯が蘇って光彩を放つ。吉川英治文学賞受賞作。

第24回:大衆文学の歴史

1990年
著者:尾崎秀樹

100年余に及ぶ大衆文学の通史。円朝の講談・人情噺の速記本化、立川文庫の活況、「大菩薩峠」の執筆開始などの前史をふまえ、大衆文学の成立から今日の隆盛までを、あまたの作家の人と作品にふれながら描きあげた著者100冊目の記念碑的労作。戦前篇、戦後篇に分冊。

第23回:會津士魂

1989年
著者:早乙女貢

天皇に忠を、幕府に孝を尽くし、士道を貫いた会津藩主従が、なぜ“朝敵"なのか―。埋もれた維新史の真実に迫る巨編。各巻末に著名人のエッセイ付き。第23回吉川英治文学賞受賞作。

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第22回:雲と風と

1988年
著者:永井路子

けわしい求法の道をたどり、苦悩する桓武帝を支えた最澄の生涯を、遠い歳月をこえて追跡する。北叡山開創一千二百余年、不滅の光芒を放つ宗祖伝教大師の人間と思想を、雲走り風騒ぐ激動の時代の中に描く歴史大作。

 

第21回:優駿

1987年
著者:宮本輝

人びとの愛と祈り、ついには運命そのものを担って走りぬける名馬オラシオン。圧倒的な感動を呼ぶサラブレッド・ロマン!

(最年少受賞)

 

第20回:腹鼓記、不忠臣蔵

1986年
著者:井上ひさし

天保八年、阿波徳島の奉行・浜島庄兵衛が染物屋大和屋の娘お美代を見染め、妾にしたいと無理難題を言ってきた。大和屋に命を助けられた狸の一家が恩返しに窮地を救うが、意外や意外、事態はエスカレートして狐族まで巻き込む化かし合いが勃発する。人と狸の恋、狸と狐の毛球試合、狸大学の化け学講義、狸対狐の屋島壇ノ浦の合戦など、珍談綺譚で展開する奇想天外大爆笑痛快長編。

元禄15(1702)年12月14日夜。赤穂浪士47名が両国の吉良邸に討入りを果たした。この事件はその後300年あまり、日本的な忠義の規範として語り継がれることとなった。しかし、旧赤穂藩士の中にはこの討入りの「義挙」に参加しなかった人々もいた。彼らはなぜ吉良邸に行かなかったのか?厳密な歴史考証と豊かな想像力で「忠臣蔵」を問い直す歴史小説の傑作。

 

第20回:白き瓶

1986年
著者:藤沢周平

旅と歌作に壊れやすい身体を捧げた稀有の歌人・長塚節の生涯を清冽な文章で辿る、会心の鎮魂賦。歌人・清水房雄氏との往復書簡収録

 

第19回:終着駅

1985年
著者:結城昌治

終戦直後の不思議に明るい猥雑さにまぎれて、空しく、漂うように死んでいった男たち。―失意と希望の交錯する荒々しい季節を描き、失われた戦後空間を問い直す、静かな意志を秘めた名作。昭和60年度吉川英治文化賞受賞作。

第18回:静かなノモンハン

1984年
著者:伊藤桂一

昭和14年5月、満蒙国境で始まった小競り合いは、関東軍、ソ蒙軍間の4ヵ月に亘る凄絶な戦闘に発展した。襲いかかる大戦車群に、徒手空拳の軽装備で対し、水さえない砂また砂の戦場に斃れた死者8千余。生還した3人の体験談をもとに戦場の実状と兵士達の生理と心理を克明に記録、抑制された描写が無告の兵士の悲しみを今に呼び返す。芸術選奨文部大臣賞、吉川英治文学賞受賞の戦争文学の傑作。

 

 

第17回:序の舞

1983年
著者:宮尾登美子

女性が画家になることが非常に難しかった明治期、京都に生まれた主人公の津也。幼少の頃より画才を発揮し、修練を重ねて美人画の新境地を切り開くが、未婚の母という波瀾に富んだ人生を歩むことになる。志を貫き美人画の極みへと到達するまでの津也の苦難と、女性としての心情を流麗な筆致で綴った名作である。

 

第16回:細香日記

1982年
著者:南條範夫

江戸後期の詩人・歴史家、頼山陽の恋人・江馬細香の75年の生涯を描く吉川英治文学賞受賞作。大垣藩医・江馬蘭斎の娘・細香は、幼少から詩文に書画に非凡な才を示し、やがてその美貌とともに名声は四隣に聞えた。が、頼山陽と出会うことから運命は変わる。“愛人”細香の山陽への哀しい献身を綴る傑作。

第15回:茜いろの坂

1981年
著者:船山馨

第14回:天の川の太陽

1980年
著者:黒岩重吾

大化の改新のあと政権を保持する兄天智天皇の都で、次第に疎外される皇太弟大海人皇子。悲運のなかで大海人の胸にたぎる想いは何か。額田王との灼熱の恋、鬱勃たる野心。古代日本を震撼させた未曾有の大乱の全貌を雄渾な筆致で活写する小説壬申の乱。

 

第14回:遠き落日、長崎ロシア遊女館

1980年
著者:渡辺淳一

自堕落にして借金魔。しかし、その一方で、寝食を忘れるほど研究に没頭し、貧農の倅という出自の壁、幼少期の火傷によって負った左手のハンディ、日本人に対する西洋人の蔑視を撥ね除けた。偉人伝の陰で長く封印されていた野口英世の生身の姿を、見事に蘇らせた傑作伝記長編。第十四回吉川英治文学賞受賞作品。

 

学問のためという一念で、妻の肉体を人体実験に供する町医者。未知の分野であった人体解剖の彩色図を、憑かれたように描く絵師。娼館設置をめぐり、ロシア人に遊女たちの性病検査を迫られ苦慮する長崎奉行所の役人。幕末から明治にかける近代日本黎明期の医学秘話五篇を収録。第十四回吉川英治文学賞受賞作品。

 

第13回:ふぉん・しいほるとの娘

1979年
著者:吉村昭

幕末の長崎で最新の西洋医学を教えて、神のごとく敬われたシーボルト。しかし彼は軍医として、鎖国のベールに閉ざされた日本の国情を探ることをオランダ政府から命じられていた。シーボルトは丸山遊廓の遊女・其扇を見初め、二人の間にお稲が生まれるが、その直後、日本地図の国外持ち出しなどの策謀が幕府の知るところとなり、厳しい詮議の末、シーボルトは追放されお稲は残される。

 

第12回:滝沢馬琴

1978年
著者:杉本苑子

失明、生活苦などの困難を不屈の気力で克服し、嫁のお路の献身的協力により、大作『南総里見八犬伝』を完成させた馬琴の苛酷な晩年を描く。

 

第11回:鬼平犯科帳、剣客商売、仕掛人・藤枝梅安

1975年
著者:池波正太郎

3作品などを中心とした作家活動に対しての受賞。

 

第10回:青春の門

1974年
著者:五木寛之

誰もが1度は通りすぎる、そしてただ1度しか通ることの許されない青春の門。熱い血のたぎる筑豊の地に生を享けた伊吹信介。目覚めゆく少年の愛と性、そして人生の希望と旅立ち……。ひたむきな青春の遍歴を雄大な構想で描き、世代を超えて読みつがれる不滅の大河ロマン。

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第9回:落日燃ゆ

1975年
著者:城山三郎

東京裁判で絞首刑を宣告された七人のA級戦犯のうち、ただ一人の文官であった元総理、外相広田弘毅。戦争防止に努めながら、その努力に水をさし続けた軍人たちと共に処刑されるという運命に直面させられた広田。そしてそれを従容として受け入れ一切の弁解をしなかった広田の生涯を、激動の昭和史と重ねながら抑制した筆致で克明にたどる。毎日出版文化賞・吉川英治文学賞受賞。

 

第8回:武田信玄

1974年
著者:新田次郎

甲州・信州の全域をわがものとして、さらに駿河府中をおさえた信玄は、いよいよ京都にのぼろうとするが、織田信長に先をこされてしまい焦るばかりだ。その上、年来の病いが身をしばりつける。合理的な戦術によって、合戦に転機をもたらした名将・武田信玄の生涯を描いた全四巻。

 

第7回:兵卒の鬣

1973年
著者:水上勉

第6回:世に棲む日日

1972年
著者:司馬遼太郎

時は幕末。嘉永六(1853)年、ペリーの率いる黒船が浦賀沖に姿を現して以来、攘夷か開国か、勤王か佐幕か、をめぐって、国内には、激しい政治闘争の嵐が吹き荒れる。
長州萩・松本村の下級武士の子として生まれた吉田松陰は、浦賀に来航した米国軍艦で密航を企て罪人に。生死を越えた透明な境地の中で、自らの尊王攘夷思想を純化させていく。その思想は、彼が開いた私塾・松下村塾に通う一人の男へと引き継がれていく。松陰の思想を電光石火の行動へと昇華させた男の名は、高杉晋作。身分制度を超えた新しい軍隊・奇兵隊を組織。長州藩を狂気じみた、凄まじいまでの尊王攘夷運動に駆り立てていくのだった……
骨肉の抗争をへて、倒幕へと暴走した長州藩の原点に立つ吉田松陰と弟子高杉晋作を中心に、変革期の青春群像を鮮やかに描き出す長篇小説全四冊。

 

 

第5回:口紅と鏡、幽霊になった男

1971年
著者:源氏鶏太

 

第4回:三国志 英雄ここにあり

1970年
著者:柴田錬三郎

時は後漢末期。戦時は腐敗し、黄巾賊が全土に跳梁跋扈して、世は混乱を極めていた――。
天下大乱す。

柴錬『三国志』ここに降臨!!


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第3回:しぐれ茶屋おりく

1969年
著者:川口松太郎

隅田川沿いの芦の湿原の中に建つ「しぐれ茶屋」。蛤の茶漬けを求めて、伊藤博文をはじめ、政治家・実業家・芸人らが通ったという。実在のモデルの女将おりくは殊の外、芸人を可愛がった。円熟した筆使いにのせ、明治末期から大正にかけての庶民の哀歓を、このひとでなければといわれるほど、見事に織りなし、市井に花咲く人情の世界を流麗に綴る、川口文学の代表作。

 

第2回:徳川家康

1968年
著者:山岡荘八

竹千代(家康)が生まれた年、信玄は22歳、謙信は13歳、信長は9歳であった。動乱期の英傑が天下制覇の夢を抱くさなかの誕生。それは弱小松平党にとっては希望の星であった──剛毅と智謀を兼ね備えて泰平の世を拓いた家康の生涯を描いて、現代人の心に永遠の感動を刻む世紀の大河ドラマ発端篇!


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第1回:昭和史発掘、花氷、逃亡

1967年
著者:松本清張

独自の取材と視点とで現代史に新たな照明を当てた大シリーズの一巻目。1964年から「週刊文春」にて連載を開始。厖大な未発表資料と綿密な取材によって、昭和初期の日本現代史の埋もれた事実に光をあてた不朽の労作が新装版で登場。政界に絡む事件の捜査中に起きた「石田検事の怪死」、部落問題を真正面から取り上げた「北原二等卒の直訴」、他に田中義一が立憲政友会入りする際の「持参金」300万円の出所に関わる疑惑を取り上げた「陸軍機密費問題」や、朝鮮人無政府主義者朴烈とその愛人(内縁の妻)である日本人の思想家の金子文子が皇室暗殺を計画したという大逆事件「朴烈大逆事件」「芥川龍之介の死」など五篇を第一巻に収録。圧倒的な面白さ。


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不動産ブローカーの粕谷為三は、すし屋で元愛人の霜井登代子と再会する。彼女と一緒にいた銀行員坂本に目をつけ、支店長黒川を脅迫、金を用意させた。粕谷が狙う一攫千金の野望は国有地の払下げである。彼は、臆面もなく、政界実力派の代議士に接近し、策を弄する…。腐敗した政界裏面と、飽くことのない欲望に奔走する男の黒い構図を描く異色作。

 

悪徳岡っ引・梅三郎の罠にかかって、“破牢”の重罪を負った甲州無宿の源次。逃れて、ある錺師の家の下働きとなるが、娘のお蝶と深い仲となり出奔。源次を匿い、お蝶は湯島の小料理屋に働きに出るが、そこには、あの梅三郎や、妖しい加賀藩の用人が出入りしていた…。無宿人の憤りを、巨匠が活写。

 

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