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川端康成文学賞・第1回(1974年)~現在の受賞作品のすべて

人名のついた文学賞

目次

川端康成文学賞とは

2019年~休止中

主催:公益財団法人川端康成記念会
後援:新潮社

作家の川端康成を記念して作られた文学賞。川端康成のノーベル文学賞賞金を基金とする公益財団法人川端康成記念会が主催している。本賞は、前年度の最も完成度の高い短篇小説に贈られる。2019年3月25日、審査委員長である川端香男里理事長の体調不良と財政の問題から、川端康成文学賞の選考を休止することを発表した。

出典:ウィキペディア川端康成文学賞(新潮社)

 

川端康成(ウィキペディア)
生年月日:1899年6月14日
活動期間:1919年~19752年(72歳没)

 

ご紹介している書籍のタイトルが、受賞作品と異なる場合もありますが、短編集の中に受賞作品が含まれています。

現在休止中の為、2018年の第44回までですべてとなります。

第2期(2000年~)

 

第44回:こことよそ

2018年

著者:保坂和志

「新潮」 平成29年 6月号 掲載

 

第43回:文字渦

2017年

著者:円城塔

昔、文字は本当に生きていたのだと思わないかい?
――秦の始皇帝の兵馬俑から発掘された三万の漢字「文字渦」
――硯のうえで文字を闘わせる、いにしえの言語遊戯「闘字」
――漢字の領土争いにルビの反乱! Unicode宇宙大戦「誤字」
――さらには、恐ろしい大量殺字事件までもが起こり「幻字」

 

第42回:生鮮てるてる坊主

2016年

著者:山田詠美

作家・夏耳漱子は掲載誌の目次に茫然とする。自作に付された「珠玉の短編」という惹句。作風に最も遠いその言葉。やがて「珠玉」は妄念となり漱子の頭の中に増殖していくが…。表題作の他、男女の友情を鮮烈に叙景した川端賞受賞作「生鮮てるてる坊主」など、生の残酷と滑稽を鋭敏な言葉で描き出す11の物語。

 

第41回:レールの向こう

2015年

著者:大城立裕

川端康成文学賞受賞記念の短篇集。「沖縄の私小説を書いてきた」作家の新境地。沖縄に生きて、その風土を呼吸しながら創作を続けてきた八十九歳の作家の、初の私小説。時の移ろいを生き抜く老年の日常。妻の入院をきっかけに、出会ってきた人々の面影とともに、遠い記憶が鮮明に蘇り、いまを生きる私を、強く激しく揺り動かす――川端康成文学賞を受賞した表題作と新作『病棟の窓』を収録する、最新作品集。

第40回:すっぽん心中

2014年

著者:戌井昭人

変化を求めず、目の前のことをやり過ごしてきた田野と痛い目に遭いつづけながらあっけらかんとしたモモ。不忍池で出会ったふたりは上野から霞ヶ浦をめざす。どんづまりを描きもはや笑うしかないのか「すっぽん心中」。スイッチの入った男の狂騒「植木鉢」、屋上の狂人のバトルと本心「鳩居野郎」を併録。おかしさと哀愁は他の追随を許さぬ現代小説。

第39回:給水塔と亀

2013年

著者:津村記久子

初の海外旅行を前に死んでしまった私。幽霊となって念願の地を目指すが、なぜかブラジルに到着し……。川端賞受賞作「給水塔と亀」を含む、会心の短篇集!

第38回:犬とハモニカ

2012年

著者:江國香織

外国人青年、少女、老婦人、大家族…。空港の到着ロビーで行き交う人々の、人生の一瞬の重なりを鮮やかに掬い取った川端賞受賞の表題作。恋人に別れを告げられ、妻が眠る家に帰った男性の心の変化をこぼさず描く「寝室」。“僕らは幸福だ”“いいわ”―夫婦間の小さなささくれをそっと見つめた「ピクニック」。わたしたちが生きる上で抱え続ける、あたたかい孤独に満ちた、六つの旅路。

第37回:異郷

2011年

著者:津村節子

夫・吉村昭氏の死後、氏に関連する来客や電話の応対に明け暮れた日々。三年が過ぎ、再び筆を執った著者が身辺のことを綴った小説集。長年過ごした自宅を建て替え、独り誰も知る人のいない温泉地に滞在する。けれど何をしても感じているのは、夫の気配と思い出だった。川端康成文学賞受賞作「異郷」も収録。

第36回:トモスイ

2010年

著者:高樹のぶ子

年下の、男の匂いのしないユヒラさんに誘われて、春まだ浅い夜、月光をかがり火がわりに夜釣りに出かけた。一度吸えば、もう死んでもいいと思うくらい美味しいというトモスイを探しに―。第三の性に寛容なタイ訪問を機に創作された川端康成文学賞受賞の表題作。バリの噎せ返る緑のなか、姉と弟の禁断の愛を描く「芳香日記」ほか、アジアのエロスと情熱を湛えた傑作短編十編。

第35回:かけら

2009年

著者:青山七恵

家族全員で出かけるはずだった日帰りのさくらんぼ狩りツアーに、ふとしたことから父と二人で行くことになった桐子。口数が少なく、「ただのお父さん」と思っていた父の、意外な顔を目にする(表題作)。結婚を前に、元彼女との思い出にとらわれる男を描く「欅の部屋」、新婚家庭に泊まりに来た高校生のいとこに翻弄される女性の生活を俯瞰した「山猫」。川端賞受賞の表題作を含む短編集。

第34回:海松(ミル)

2008年

著者:稲葉真弓

舞台は、志摩半島の一角、小さな湾近くの傾斜地。そこに土地を買い、家を建て、改めて、自分と現実のすべてについて、新しい生の感覚を見出そうとして暮らす。場処を決めたのは、オスの雉。見知らぬ道をタクシーで通りかかったとき、ふと、歩いている雉を見て、奇跡に出遭ったように、心がふるえた。家の棟上式で一本ずつ立つ柱に、主である木を私は持つのだ、と感動する。生死のはざまで自分の皮を脱ぐ、ヘビの抜け殻を拾ってうける暗示…。そんな、ある生活事始めといった光景が、弾みと生彩ある言葉で展開される、川端康成文学賞受賞作。

 

第34回:蛹

2008年

著者:田中慎弥

海峡の漁村・赤間関を、コンクリの町に変えた桜井の家。昔日の繁栄は去り、一人娘の梅代は、出戻った娘と孫娘の3人で日を過ごす。半島から流れついたようにいつの間にか隣地に建った教会を憎悪しながら……。因習に満ちた共同体の崩壊を描く表題作ほか、変態する甲虫に社会化される自己への懐疑を投影した「」など、ゼロ年代を牽引する若き実力作家の川端賞・三島賞同時受賞作!

第33回:タタド

2007年

著者:小池昌代

波の音を聞くと、遠い土地に流れ着いた流木のような気分になる――。海辺のセカンドハウスに集まった地方テレビのプロデューサー夫婦と友人二人。五十代の男女四人は浜辺に落ちた海藻を拾い、庭に実る猿の頭ほどの夏みかんを頬ばり、ワインを飲んで、心地よい時間を過ごす。翌朝、四人の関係は思わぬ「決壊」を迎える(川端康成賞受賞・表題作)。日常にたゆたうエロスを描く三編。

第32回:ロック母

2006年

著者:角田光代

作家としての苦悩のはじまりに“しょぼんとたたずむ”忘れ難い作品、「ゆうべの神様」。シングルマザーになる覚悟で離島の実家に帰った私を待っていたのは、恐ろしいほど変わらない風景と“壊れた”母親だった。――川端康成賞受賞作、「ロック母」など、15年にわたる作家活動をあまさずとらえた傑作作品集。

第31回:枯葉の中の青い炎

2005年

著者:辻原登

300勝達成を目前に苦闘する老いたスタルヒン投手に悲願を叶えさせるため、ひとたび間違えば大きな災いが襲うことを承知で密かに南洋の呪術を使う男の話「枯葉の中の青い炎」。1カ月だけ愛人と同棲したい、という夫の望みを聞き入れてやる妻が妖しい「ちょっと歪んだわたしのブローチ」。奇妙な匂いに誘われて、妻の妹をレイプしてしまった男のモノローグ「水いらず」。野球に天才的な能力を持ちながら不幸な人生をおくった同級生を、深い哀切の思いを込めて追想する「野球王」など、全6篇。

第30回:袋小路の男

2004年

著者:絲山秋子

高校の先輩、小田切孝に出会ったその時から、大谷日向子の思いは募っていった。大学に進学して、社会人になっても、指さえ触れることもなく、ただ思い続けた12年。それでも日向子の気持ちが、離れることはなかった。川端康成文学賞を受賞した表題作の他、「小田切孝の言い分」「アーリオ オーリオ」を収録。

第29回:スタンス・ドット

2003年

著者:堀江敏幸

小さなレコード店や製函工場で、時代の波に取り残されてなお、使い慣れた旧式の道具たちと血を通わすようにして生きる雪沼の人々。廃業の日、無人のボウリング場にひょっこり現れたカップルに、最後のゲームをプレゼントしようと思い立つ店主を描く佳品「スタンス・ドット」をはじめ、山あいの寂びた町の日々の移ろいのなかに、それぞれの人生の甘苦を映しだす川端賞・谷崎賞受賞の傑作連作小説。

第29回:吾妹子哀し

2003年

著者:青山光二

アルツハイマー型認知症で、妻の杏子は記憶を喪いつつあった。失禁や徘徊を繰り返し、介護にあたる夫の圭介を当惑させるのだが、齢九十を前にした夫は、老いた妻の姿に、若い日の愛の想いを甦らせていた。…おれは何とこの女を愛していたことだろう。今も愛は生きている。自分の愛に責任を持たなければ―。実体験に基づく究極の夫婦愛を謳って、川端康成文学賞を受賞した名篇。

第28回:半所有者

2002年

著者:河野多惠子

妻の遺体は誰のものか―究極の“愛の行為”を描く、戦慄の傑作短篇。

第28回:権現の踊り子

2002年

著者:町田康

権現市へ買い物に出かけたところ、うら寂しい祭りの主催者に見込まれ、「権現躑躅(つつじ)踊り」のリハーサルに立ち会う。踊りは拙劣。もはや恥辱。辟易する男の顛末を描いて川端康成文学賞を受賞した表題作や、理不尽な御老公が市中を混乱に陥れる、“水戸黄門”の町田バージョン「逆水戸」など、著者初の短編集。

第27回:武蔵丸

2001年

著者:車谷長吉

伯母の家に預けられた村の子の眼に映る周囲の人びとの物狂いの世界を綴る「白痴群」。ともに五十歳近い初婚夫婦が、一匹の兜虫の生と性のすさまじさ、むごさを見ながらその死を看取る「武蔵丸」(第27回川端康成文学賞受賞)。他に「狂」「功徳」「一番寒い場所」など、「書くことは、私には悲しみであり、恐れである」という著者の、業曝しの精神史としての私小説6篇を収録。

第26回:雨のち雨?

2000年

著者:岩阪恵子

朝会社に出かけたまま失踪した夫。妻と姑の奇妙な同居生活が始まった。ごく普通の日常をおそう不意の出来事。そのなかに見え隠れする人間の奥深さをあざやかに描いた短篇集。人生の光と闇をあざやかに切り取った川端康成文学賞受賞作を含む珠玉の9篇。

第26回:魂込め(まぶいぐみ)

2000年

著者:目取真俊

戦争で両親を亡くした男の魂が肉体を離れて海辺をさまよう。親代わりの女は、なんとか肉体に戻るよう懸命に魂に語りかけるが…。表題作「魂込め」ほか短篇六篇を収録。戦争と沖縄、新感覚で描く、記憶をめぐる物語。芥川賞受賞後、初の作品集。

 

第1期

毎年の最高傑作短篇に授賞される川端文学賞の25年。その全作品と選評を収録した作品集もあります。

川端康成文学賞全作品(2)

第14~25回の受賞作16篇

 

川端康成文学賞全作品(1)

第1~13回の受賞作13篇

第25回:望潮

1998年

著者:村田喜代子

老婆の「当たり屋」が大勢いるという噂を確かめるべく、玄界灘の小島を訪れたわたしが目にした光景とは──。「望潮」他六篇収録

第24回:台所

1997年

著者:坂上弘

私にとっての母…あなたにとっての母とは?第24回川端康成文学賞受賞作。「お前は私の血の塊なのよ」という母の言葉がふたたび私の内部を静かにゆさぶる…。台所、浴室での老母と息子との私(ひそ)やかなやりとりを瑞々しい淡彩調で綴る表題作ほか8篇。

第24回:「アボジ」を踏む

1997年

著者:小田実

震災後に書いた「ぼくは生まで帰る」から始まる表題作は、三十年に一度と言われる名作として川端康成文学賞の審査員たちをうならせた。「アボジ」の済州島での野辺の送りは万葉集やホメロスの時代の葬送を彷彿とさせる。太平洋戦争やナチの強制収容所、大震災で無念のうちに死んでいった人の記憶を刻む『「三千軍兵」の墓』の他、1957年、63年、74年、80年、87年に書かれた五つを含む計七篇の短篇。人間がそれぞれの時代に遭遇する戦争、国境、漂泊、死を見つめた「短篇全体小説集」。

第23回:赤い満月

1996年

著者:大庭みな子

移ろいゆらぐ時のなかに浮かび上る人生のきらめき。青春を共にした仲間が半世紀後のいま、ふたたび会する。ひびきあうそれぞれの時間、それぞれの姿をのびやかに描く表題作ほか12篇を収録。

(単行本書名:もってのほか)
すっぽん、あるいは/赤い満月/瓜二つ/春の鳥/笛/自転車/姉妹/師匠と弟子/虹/山の烏/もってのほか/魔女に逢った山姥/二人山姥

 

第22回:みのむし

1995年

著者:三浦哲郎

娘が幻の父と対面する一瞬の情愛がせつない「じねんじょ」老夫婦の哀歓が静かな絶頂に達する「みのむし」―二つの川端賞受賞作を始め、避暑地で起きた珍事が清涼な余韻を醸し出す「山荘の埋蔵物」など遺された未収録の三作を収めて作品発表順に新たに編纂された完本。

第21回:セミの追憶

1994年

著者:古山高麗雄

今よみがえるあの戦争の日々、あの人たち…出会いと運命を綴る珠玉の八篇。

第20回:犬(影について・その一)

1993年

著者:司修

終戦後の焼け野原を、無垢な少年が疾駆する。複雑な生い立ちを背に、光を、色を、影を感じとりながら…。みずからの少年時代を戦後という時間の中に刻む連作。川端賞受賞作「」を収録。

第19回:お供え

1992年

著者:吉田知子

毎朝、何者かに家の前の「カド」にお供えを置かれ、身に覚えのないまま神様に祀り上げられていく未亡人。山菜摘みで迷い込んだ死者たちの宴から帰れない女。平穏な日常生活が、ある一線を境にこの世ならぬ異界と交錯し、社会の規範も自我の輪郭さえも溶融した、人間存在の奥底に潜む極限の姿が浮かび上がる七作品。

第18回:伯父の墓地

1991年

著者:安岡章太郎

伯父の墓地」(第18回川端康成文学賞受賞)他、死と生のあわいにたたずみ、人生の《黄昏》の景観を濃淡あざやかな筆致で描きあげ、透徹の境地を伝える珠玉の10篇。

第17回:じねんじょ

1990年

著者:三浦哲郎

北陸の小さな旅館に母と息子の泊り客、息子は明日大本山に入門するという。「今夜は何かお好きなものを作りましょう」と尋ねると「んだら、とんかつにして頂きゃんす」・・(とんかつ)   死んだと聞かされていた父親が実は生きているという。小桃は40歳近くなって初めて父親に会うことになった。・・(じねんじょ)

第16回:海にゆらぐ糸

1989年

著者:大庭みな子

時間の変幻と永遠相の虹のプリズムを通して綾なすさまを、旧知との交遊のはざまに見出して詩的に定着した『海にゆらぐ糸』連作(川端賞受賞)と、ひとのいのちの収斂するときをいとおしんで描く短篇一作と放送劇とを収録。

第14回:ヨッパ谷への降下

1989年

著者:筒井康隆

見知らぬ夜の街で、若い裸の美女に導かれて奇妙な洞窟の温泉を滑り落ちる「エロチック街道」。九度死んで生きる虫の、いや増す死の恐怖を描いた「九死虫」。海のなかに建つ巨大な家で、水浸しの縁側を少年が漂流する「家」。乳白色に厚く張りめぐらされたヨッパグモの巣を降下する幻想的な川端康成文学賞受賞作「ヨッパ谷への降下」ほか、夢幻の異空間へ読者を誘う魔術的傑作12編。

第15回:

1988年祝婚

著者:上田三四二

1日生きれば1日は余禄―病と20年間闘い続けた著者が静謐な文章に映し出す生と死のあわい…。川端賞受賞作「祝婚」他5篇を収める感銘深い短篇集。

第15回:樹影譚

1988年

著者:丸谷才一

自分でもわからぬ樹木の影への不思議な愛着。現実と幻想の交錯を描く、川端康成文学賞受賞作。これぞ、短篇小説の快楽! 「鈍感な青年」「樹影譚」「夢を買ひます」収録。

第14回:中山坂

1987年

著者:古井由吉

著者自身が厳選した待望の著作集。谷崎潤一郎賞受賞の長篇「槿」および川端康成文学賞受賞の「中山坂」を収録した「眉雨」を一巻にまとめる。八〇年代の逸脱と不安の裡で進行していた危機をエロスと幻影と謎を柱に実験的な長篇に仕立てた著者最大の問題作。そして巧緻な文体の限りを尽くした緊密な短篇集成。

第14回:海道東征

1987年

著者:阪田寛夫

 

第13回:逸民

1986年

著者:小川国夫

少年時代に絵を志し、果せぬままフランスへ赴き、やがて小説を書き初めて今日に至る魂の偏歴。川端康成文学賞受賞。

第12回:恋う

1985年

著者:高橋たか子

怒りの子
怪しみ
誘い
甦りの家
恋う
終りなき出会い
*潜在する海へ―オリジナル・エッセイ

第12回:辻火

1985年

著者:田久保英夫

川端康成文学賞受賞。現文壇を代表する短篇の名手・田久保英夫の描き出す東京の下町生活者たちの男女感覚と肉親のきずな―底深い人間の暗闇を垣間見させる傑作集。

第11回:三界の家

1984年

著者:林京子

屈託のない上海時代に「とうさま」と呼ばれた父は戦後、失職し権威は崩壊した。母の名前を呼び続け父は死んだ…。私にも母にも懐かしいその父はいま山頂の墓地を離れロッカー式納骨堂に静かに眠る。14歳の夏長崎で被爆した私の生と死の現実を描く短編集。

第11回:河馬に噛まれる

1984年

著者:大江健三郎

ウガンダで河馬に噛まれたことから、「河馬の勇士」と呼ばれる元革命党派の若者。彼と作家である「僕」との交流をたどることで、暴力にみちた時代を描く。若者に希望はあるのか。浅間山荘銃撃戦とリンチ殺人という、戦後日本の精神史に深い傷を残した悲痛で惨たらしい事件を、文学の仕事として受けとめた連作集。

第10回:湾内の入江で

1983年

著者:島尾敏雄

収録作品: 島尾敏雄 湾内の入江で 岩阪恵子 ミモザの林を 中里恒子 飛鳥 井伏鱒二 荻窪 大江健三郎 泳ぐ男 津島佑子 水府 川崎長太郎 流浪 丹羽文雄 妻 小沢信男 私の赤マント 日野啓三 俯く像 森内俊雄 足が濡れている 阿部昭 まどろむ入江 澁澤龍彦 ぼろんじ 小檜山博 荒海 森万紀子 運河のある町

第10回:黙市

1983年

著者:津島佑子

深淵の底から、現実という水面に湧き出る、交錯した夢と記憶。コンクリートのマンションに住む人間たちと、森に棲む生き物たちとの密かな交感―。子供たちに見せるため、別れた男と会いながら、奇妙な沈黙が続いてしまうその光景を、山の男と村人との物言わぬ物々交換、すなわち黙市に重ね合わせる川端賞受賞の表題作等、この世にひっそりと生きる者たちの息遣いに耳澄ます11編。

第9回:百

1982年

著者:色川武大

百歳を前にして老耄の始まった元軍人の父親と、無頼の日々を過してきた私との異様な親子関係。急逝した著者の純文学遺作集。

第8回:兵隊宿

1981年

著者:竹西寛子

乗船直前、自分の家に泊った3人の出征将校の姿に、未知の大人たちの世界を知り微妙に変わる少年の心の襞。川端康成文学賞受賞「兵隊宿」と、「少年の島」「流線的」「緋鯉」「虚無僧」ほか共通の主人公による9つの短篇群。「住環の記」「式子内親王・永福門院」等、日本の古典を材に優れた評論を持つ著者の『儀式』『鶴』に続く代表的名篇。

第7回:なぎの葉考

1980年

著者:野口冨士男

複雑な家庭環境の中での父と母の姿を印象的に綴った「石蹴り」、その父の老齢になっての入水自殺の顛末を追った「耳のなかの風の声」、花柳界に生きる女性とのはかない交流を辿る「なぎの葉考」「熱海糸川柳橋」など、名作九篇を収録。戦前、戦中、戦後と、時代に流されることなく、反骨精神をもって、市井の人生、暗い翳りをもつ女たちを描き続けてきた著者の「私小説」の精華を集成。

第6回:玉、砕ける

1979年

著者:開高健

戦争下の人間の姿を感動的に描いた名作集。 ヴェトナム、中近東、アフリカでの苛酷な戦場体験の中から生み出された「戦場の博物誌」など、戦争小説5篇に、川端賞受賞作「玉、砕ける」を併録した珠玉の一冊

第5回:雪女

1978年

著者:和田芳恵

片隈に生きる職人の密かな誇りと覚悟を顕影する「冬の声」。不作のため娼妓となった女への暖かな眼差し「おまんが紅」。一葉研究史の画期的労作『一葉の日記』の著者和田芳恵の、晩年の読売文学賞受賞作「接木の台」、著者の名品中の名品・川端康成賞受賞の短篇「雪女」など代表作十四篇を収録。

第4回:寺泊

1977年

著者:水上勉

 

〈私〉の生に触れ、忘れえぬ刻印を残した人々を追想しつつ、自己の根を見つめ直した作品集。川端賞受賞の「寺泊」など14編収録。

第4回:立切れ

1977年

著者:富岡多恵子

なんの変哲もないありふれた人生。独得の語り口であるがままに描き出し、したたかに生きる平凡な人々の日常に滲む哀しみを、鮮やかに浮彫りにする富岡多恵子の傑作短篇集。川端康成文学賞受賞「立切れ」ほか地方都市で妻と二人ひっそりと暮す退官した警視松尾文平に纏る「薬のひき出し」、「名前」「ワンダーランド」「幼友達」「富士山の見える家」など十二篇収録。

第3回:時に佇つ(十一)

1976年

著者:佐多稲子

昭和初期のプロレタリア文学運動。弾圧下の非合法活動。戦前・戦中・戦後を通し真摯に闘い続ける著者が、激動の時代の暗い淀みを清冽、強靱な“眼”で凝視し、「時」の歪みの底に沈む痛ましくも美しきものを描出する自伝的短篇連作12篇。窪川鶴次郎の死の周辺を綴った「その十一」の章で川端康成文学賞を受賞。

第2回:秋

1975年

著者:永井龍男

野間文芸賞、芸術院賞両賞受賞の短篇集『一個その他』から、世評高い作品集『カレンダーの余白』『青梅雨その他』『雀の卵その他』、そして川端賞受賞の『秋その他』に至る短篇の名手・永井龍男。その晩年の短篇集の中から、「一個」「蜜柑」「杉林そのほか」「冬の日」「青梅雨」「雀の卵」そして名品中の名品「秋」など14篇の短篇の冴えを集成。

第1回:ブロンズの首

1974年

著者:上林暁

脳溢血で、右半身、下半身不随、言語障害に遭いながら、不撓不屈の文学への執念で歩んだ私小説の大道。読売文学賞「白い屋形船」川端賞「ブロンズの首」ほか、懐しく優しい、肉親・知友そして“ふるさと”の風景。故郷の四万十川のように、人知らずとも、汚れず流れる、文学への愛が、それのみが創造した美事な“清流”。

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